郁文館中学校 の過去問分析
郁文館中学校の過去問を年度ごとに数えて、何が固定で何が毎年変わるか・よく出る単元・過去問の使い方をまとめたページです。
郁文館中学校 過去問分析(2010〜2026 年度・第 1 回相当・算数 15 年 / 理科 9 年 / 社会 8 年 / 国語 5 年)
更新 2026-08-20。
1. この学校の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都文京区 |
| 男女 | 共学 |
| 旧称 | 私立郁文館中学校(1913 年)・郁文館学園中等部(1947 年) |
| 配点 | どの回も募集要項に記載がありません |
| 面接 | 英語選抜の回(海外帰国生・第 1 回グローバル専科特待・第 2 回グローバル専科特待)は、英語の試験に面接が加わります |
入試回と日程・科目(2027 年度の募集要項)は次のとおりです。コースごとに入試が分かれていて、回によって受ける科目が変わります。
| 回 | 日程 | 科目・試験時間 | 募集人数(合格クラス) |
|---|---|---|---|
| 海外帰国生 英語選抜 | 2026 年 12 月 15 日 | 英語 50 分+面接 | 約 5〜10 名(本科・グローバル。1 年特待〔英語得点保証〕) |
| 第 1 回 本科 2 科・4 科選抜 | 2027 年 2 月 1 日午前 | 2 科(国語・算数)または 4 科(+社会・理科)/国語 50 分・算数 50 分・社会 30 分・理科 30 分 | 約 35 名(本科) |
| 第 1 回 グローバル専科特待 英語選抜 | 2027 年 2 月 1 日午前 | 英語 50 分+面接 | 約 15 名(グローバル。1 年特待) |
| 第 1 回 iPclass【東大専科】2 科選抜 | 2027 年 2 月 1 日午後 | 2 科(国語・算数)/国語 50 分・算数 50 分 | 約 10 名(3+3 年特待: 入学金・授業料全額免除、高校進学時に更新審査) |
| 第 2 回 本科 2 科・4 科選抜 | 2027 年 2 月 2 日午前 | 第 1 回 本科と同じ | 約 25 名 |
| 第 2 回 グローバル専科特待 英語選抜 | 2027 年 2 月 2 日午前 | 英語 50 分+面接 | 約 10 名 |
いまの小 6 は 2027 年 2 月、小 5 は 2028 年、小 4 は 2029 年の入試を受けます。
このレポートが分析したのは、2 科・4 科の回に当たると考えられる 1 冊分の問題です(→ 4 節・13 節)。
2. このページでわかること
このページは、どんな問題が出るか・家で何をやるかだけを扱います。難易度・偏差値・合格可能性・入試結果は扱いません(偏差値 / 募集要項・入試結果)。
過去問そのものの回し方は 過去問の使い方、受験用語は 用語集 にまとめてあります。
以下、大問(問題の大きなかたまり)・小問(その中の一問)という言い方をします。答え方については、短答(語句や数値を短く答える形式)・逆算(□にあてはまる数を求める計算)という言い方をします。
3. まず結論だけ(10 行)
結論
- 4 科目とも、まとまった文章を書かせる設問がほとんどありません。答えは記号か数値だけで、文章を書かせるのは国語だけ、それも 10〜45 字の字数指定つきです。
- 同じ場所に同じ種類の問題が来ます。算数は大問 1 が計算 3 問・大問 2 が小問集合 5 問・大問 6 が立体か水そうで 5 年連続(2022〜2026)、社会は大問 1 地理 10 問・大問 2 歴史 10 問・大問 3 公民と時事 5 問が精読した 3 年で完全に一致します。
- 一方、中身そのものは毎年作り直されています。精読した範囲で「前の年とまったく同じ問題」は 1 問も見つかりませんでした。固定されているのは問題そのものではなく、置かれる場所と問い方の文です。
家でやること 3 つ
- 算数の大問 2 の小問集合を、2022〜2026 年度の 5 年分(25 問)縦に並べて解きます。
- 社会の「ふさわしくないもの」を選ぶ設問だけを集めて練習し、設問文の「ない」に印を付ける動作を体に入れます。
- 国語の漢字を毎日 10 題(読み 5・書き 5)。1 回の試験で漢字が両方の大問の冒頭に 5 題ずつ出ます。
今週やる 1 つ
- 算数の大問 6(立体または水そう)だけを 2022〜2026 年度の 5 年分並べて解き、最後に置かれるこの大問まで時間が残るかを計ります。
注意
- 理科と社会は 2020 年度以降、国語は 2019 年度以降の問題冊子が資料にありません。ここに書いた理科・社会・国語の話は、それ以前の形についてのものです(→ 13 節)。
4. 資料の状況
転写(過去問の紙面を文字データに起こしたもの)を根拠にしています。年の数え方は次の 3 つに分けました。精読した年(設問文まで読んだ年)・構成だけ数えた年(大問の並びと問題数だけを数えた年)・資料のある年(問題冊子が資料にある年)です。
| 科目 | 資料のある年 | 精読した年 | 構成だけ数えた年 | 資料に無い年 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 算数 | 2010〜2026 年度の 15 年 | 2022〜2026 年度の 5 年 | 資料のある年のうち、精読した年を除く年 | 2013・2021 年度 | 転写の確度は高いと記録されています |
| 理科 | 2010〜2019 年度の 9 年 | 2017〜2019 年度の 3 年 | 資料のある年のうち、精読した年を除く年 | 2011 年度、および 2020 年度以降 | 2018・2019 年度の冊子は確度が低めと記録されています |
| 社会 | 2010〜2019 年度の 8 年 | 2017〜2019 年度の 3 年 | 資料のある年のうち、精読した年を除く年 | 2011・2012 年度、および 2020 年度以降 | 2018・2019 年度の冊子は確度が低めと記録されています |
| 国語 | 2010・2015〜2018 年度の 5 年 | 2016〜2018 年度の 3 年 | 資料のある年のうち、精読した年を除く年 | 2011〜2014 年度、および 2019 年度以降(著作権処理の関係で掲載されない年が多いためです) | 直近の形式は市販の過去問集で確認してください |
- 収録冊子の校名は全校・全冊で照合済みです(別校の冊子が混じっていた場合はこの節に明記しています)。
- 資料は校×年×科目で 1 冊ずつしか無く、どの回の問題かは冊子から特定できません。転写の注記に「第 1 回一般入試」(2015 年度)「令和 5 年度 第 1 回総合入試」(2023 年度)とあることから、第 1 回相当として扱っています。2027 年度の募集では 2 科・4 科の回が 4 回、ほかに英語・適性検査・2 科のみの回が並びますが、この分析はそのうちの 1 冊分と考えてください。
- 試験時間は学校が公表している 2027 年度の予定で、国語 50 分・算数 50 分・社会 30 分・理科 30 分です。4 科を選んでも 2 科(国語・算数)を選んでもよい回があります。配点は資料からは分かりません。
- 「◯年連続」と書いた箇所は、その年度の問題冊子を実際に読んで確認したものです。精読していない年については「自動集計ではそう見える」と書き分け、断定していません。
- 図そのものは資料に写らないため、図形問題の細部は設問文と図の説明文からの推定を含みます。
5. 一番大きな結論
郁文館は「出題の形が何年も変わらず、答えは記号か数値だけで書かせる」学校です。
- 4 科目とも、まとまった文章を書かせる設問がほとんどありません。算数は精読した 5 年(2022〜2026)が全問短答で記述ゼロ、理科は精読した 3 年(2017〜2019)が記述ゼロで 8 割が記号選択、社会は精読した 3 年(2017〜2019)が 25 問中 24〜25 問まで記号選択です。文章を書かせるのは国語だけで、それも 10〜45 字の字数指定つきです。
- 同じ場所に同じ種類の問題が来ます。どの大問に何が置かれるかという座席(問題の置き場所)が動きません。算数は大問 1 が計算 3 問・大問 2 が小問集合 5 問・大問 6 が立体か水そうで、5 年連続(2022〜2026)です。理科は大問 1 生物・大問 2 化学・大問 3 地学・大問 4 物理の並びが精読した 3 年で一致します。社会は大問 1 地理 10 問・大問 2 歴史 10 問・大問 3 公民と時事 5 問が精読した 3 年で完全に一致し、問題数 25 は 7 年(2013〜2019)動いていません。国語は両方の大問の問一が漢字 5 題です。
- 問い方の文まで固定されています。社会は「〜としてふさわしいものを、下の(ア)〜(エ)の中から一つ選び記号で答えなさい。」が全 25 問の末尾に置かれ、これが 3 年続きます。理科は「下の (1)〜(N) の各問いに答えなさい。」で全大問が始まります。
- 一方、中身そのものは毎年作り直されています。精読した範囲で「前の年とまったく同じ問題」は 1 問も見つかりませんでした。算数の大問 3〜5 は単元ごと入れ替わり、社会の大問 1・大問 3 は前年のニュースを題材に立て直されます。
したがってこの学校の過去問の使い方は「出る問題を覚える」ではありません。①決まった場所に来る種類の問題を縦に練習する、②時間の使い方を身につける——この二つに近くなります。とくに「大問 2 だけを 5 年分縦に解く」「大問 6 だけを 5 年分縦に解く」という縦の使い方が、この学校では素直に効きます。
科目ごとの要点
| 科目 | 形式の固定度 | 中身の性格 | 最初に時間をかける価値があること |
|---|---|---|---|
| 算数 | 高い。6 大問・16〜18 問・50 分・全問短答(精読した 5 年で不変) | 大問 1・2・6 の中身は決まった枠から、大問 3〜5 は毎年入れ替え。速さ系が 5 年中 4 年 | 大問 2 の小問集合 5 問を 12 分で。そして立体と水そう(大問 6 の定位置) |
| 理科 | 高い。4 大問・17〜24 問・30 分(9 年で大問数は不変) | 生物・化学・地学・物理を 1 大問ずつ。記述ゼロ、8 割が記号選択、図が 7 割 | 4 分野を均等に。とくに天体(大問 3)と力学(大問 4) |
| 社会 | 非常に高い。3 大問・25 問(10+10+5)・30 分が 7 年不変。全問が 4 択の記号選択 | 地理・歴史・公民+時事。歴史は古代の比重が大きい。導入文は前年のニュース | 「ふさわしくないもの」の読み落とし対策と、都道府県の同定 |
| 国語 | 高い(2018 年度まで)。2 大問・16〜19 問・50 分 | 説明文+物語文。漢字が両大問の冒頭に 5 題ずつ。字数指定つきの短い記述が多い | 漢字 10 題と、字数ちょうどに収める記述 |
4 科目に共通して、答案に書く量そのものは少なめです。その代わり「設問文の条件を読み違えたら即失点」という作りになっています。社会の「ふさわしくない」、理科の「1 つ/1 つずつ/2 つ」、国語の字数指定、算数の単位——読み取りの精度が、そのまま得点になる学校です。
6. この学校らしさが出る場所
- 算数の登場人物に「郁子さん」「文男くん」が出ます(2022 年度の大問 4、2023 年度の大問 4)。校名から取った名前で、他校の問題では見ない顔です。
- 算数の題材が社会的な話題に寄っています。売り上げの一部が寄付される自動販売機(2024 年度・大問 4)、森林の間伐(2025 年度・大問 2)、学校給食の食べ残しの量(2025 年度・大問 2)、動物園の入園料(2026 年度・大問 2)。計算の中身は普通の割合や場合の数ですが、設定の選び方に色があります。
- 社会は「前年に起きたこと」から入ります。伊勢志摩サミットとリオ五輪(2017 年度)、宗像・沖ノ島の世界遺産登録と平均寿命の発表(2018 年度)、新聞記事 4 本(2019 年度)。精読した 3 年とも、大問 1 と大問 3 の導入文が前年のニュースでした。
- 国語の説明文が「身近な生き物と食べもの」に寄っています。ねこの性格(2016 年度)、農薬と農家(2017 年度)、魚が食べられなくなる話(2018 年度)。3 年続けて、生活の中の生き物・食べものを扱う説明文が大問 1 に来ています。
- 理科は「実験装置と図」から入ります。氷を加熱するグラフ(2017 年度)、わりばしの蒸し焼き(2018 年度)、酸素を発生させる装置(2019 年度)、モノコード(2017 年度)、実験用てこ(2018 年度)。知識だけで答えられる設問は少なく、目の前の図を読ませる作りになっています。
- 設問文の言い回しが 4 科目とも統一されています。社会の「〜としてふさわしいものを、下の(ア)〜(エ)の中から一つ選び記号で答えなさい。」、理科の「下の (1)〜(N) の各問いに答えなさい。」、算数の「次の計算をしなさい。」「次の □ にあてはまる数を答えなさい。」。作問の担当が変わっても文言が受け継がれているように見えます。
7. 今からやるなら(4 科目統合の優先順)
想定している学年: 受験学年(小 6)の、過去問演習に入っている段階を前提にしています。小 5 以前なら、この節は「最終的にここへ向かう」地図として読み、日々の学習は基礎(計算の正確さ・図形・読解・漢字語彙)を先に進めてください。学年別の順序は 11 節に分けて書きました。
根拠は 8 節(科目別の詳細)を参照してください。各項目の末尾の(確認: 〜20XX 年度)は、その施策の根拠を確認できている最後の年度です。
- [週末 60 分] 算数・大問 2 の小問集合を 5 年分縦に解く(2022〜2026 の 25 問)。数の性質・割合・仕事算(何人かで分担したときの日数を求める問題)・平均算・つるかめ算(個数を合計から逆算する問題)・売買損益が回っており、5 問目は 5 年とも図形です。12 分で 5 問が目標。(確認: 〜2026 年度)
- [週 1 回] 社会・「ふさわしくないもの」を選ぶ問題だけを集めて練習。精読した 3 年で 25 問中 3〜8 問がこの形でした。設問文の「ない」に印を付ける動作を体に入れます。(確認: 〜2019 年度)
- [週末 60 分] 算数・立体と水そう(大問 6 の定位置・5 年連続)。穴あき立体の表面積、水そう 2 つの水位比、仕切り板のある水そう。最後に置かれるので、時間配分を先に決めておきます。(確認: 〜2026 年度)
- [毎日 10 分] 国語・漢字を毎日 10 題(読み 5・書き 5)と、字数指定つきの記述。1 回の試験で漢字が両方の大問の冒頭に 5 題ずつ、合わせて 10 題出ます。位置が決まっているので取りこぼしがそのまま差になります。記述は 20 字・25 字・35 字を、記号も 1 字と数えてちょうどに収める練習を。冊子に「カギ括弧・句読点などの記号も一字と数えます」と明記されます。(確認: 〜2018 年度)
- [週末 60 分] 理科・4 分野を均等に。生物・化学・地学・物理を大問 1 つずつ置く作りなので、1 分野を捨てると 4 分の 1 が沈みます。あわせて「1 つ選び」「1 つずつ選び」「2 つ選び」の読み分けを、過去問を解くときに指さしで確認する癖を付けます。(確認: 〜2019 年度)
- [毎日 10 分] 算数・計算 3 問を 3 分で(大問 1・5 年連続)。かっこの多い整数計算、分数と小数の混合、そして分配法則の工夫(2024〜2026 の 3 年連続で 3 問目に出ました)の 3 種を毎日 1 セット。(確認: 〜2026 年度)
- [週 1 回] 社会・都道府県の同定と、前年 1 年のニュース。位置・県庁所在地・農産物 1 位・伝統工芸品・工業地帯を、県名からも数字からも引ける形にします(精読した 3 年で大問 1 の中心でした)。あわせてサミット・世界遺産の登録・オリンピック・国際会議・省庁(厚生労働省など)の発表といった、大問 1 と大問 3 の導入文になりやすい話題を月ごとに 1 行で並べておきます。(確認: 〜2019 年度)
- [週末 60 分] 算数・速さ 3 種(速さの基本・ダイヤグラム・流水算(川の流れがある中を進む船の速さの問題))。精読した 5 年のうち 4 年に大問 1 つぶん出ますが、位置が大問 4 と大問 5 で動くので、どの位置に来ても解ける状態にします。(確認: 〜2026 年度)
8. 科目別の詳細
8-1. 算数(50 分・2 科でも 4 科でも共通)
資料は 2010〜2026 年度の 15 年分です(2013・2021 年度は問題冊子が資料にありません)。ここでは 2022〜2026 年度の 5 年を精読し、うち 2024〜2026 年度は全設問を確認しました。
年度×大問の題材表(2022〜2026・原本で確認)
| 年度 | 大問1 | 大問2(5 問の小問集合) | 大問3 | 大問4 | 大問5 | 大問6 | 小問数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 計算 3 問 | 逆算・平均・売買損益・速さ・面積 | 規則性(のりしろで紙をつなぐ) | 速さ(電車の乗り継ぎ) | 角度・面積比(四角形) | 立体図形(直方体の組み合わせ・表面積と体積) | 16 |
| 2023 | 計算 3 問 | 比・売買損益(税率)・仕事算・ガウス記号・円柱の展開図 | 規則性(正方形タイルを並べる) | 速さ(坂道の上り下り) | 円とおうぎ形(半円の組み合わせ) | 立体図形(直方体を積んで立方体を作る) | 17 |
| 2024 | 計算 3 問 | 2024 の約数・平均算・仕事算・割合・半円 3 つの斜線部 | 規則性(数の三角形状の並び) | 場合の数・論理(自動販売機の寄付) | 図形の移動(おうぎ形の外を円が転がる) | 立体図形(立方体に角柱の穴をあける) | 17 |
| 2025 | 計算 3 問 | 数の性質(余り)・割合(森林の間伐)・比の変化・単位換算(食べ残し)・立方体ブロック | 平面図形(三角形の面積比) | 場合の数(3 色の電球ゲーム) | 速さとグラフ(自転車とバス) | 水量(2 つの水そうの深さ比) | 18 |
| 2026 | 計算 3 問 | 倍数の個数・つるかめ算・重さと割合・入園料の比・正方形 2 つの斜線部 | 図形の移動(正方形の内外を円が転がる) | 推理・論理(8 問クイズの正誤表) | 流水算(上りと下りの船) | 水量(2 枚の仕切り板のある水そう) | 17 |
同じ場所に同じ種類の問題が出る(座席の固定)
- 大問 1 は 5 年連続(2022〜2026)で計算 3 問です。導入文も 5 年とも「次の計算をしなさい。」の一言で、字数も並びも変わりません。
- 大問 2 は 5 年連続(2022〜2026)で「次の □ にあてはまる数を答えなさい。」の小問集合 5 問です。単元は年ごとに入れ替わりますが、5 問目が図形(平面または立体)である点は 5 年とも同じです。自動集計では大問 2 が「割合」「数の性質」「逆算」と年ごとに違う単元名で並びますが、それは先頭の小問の単元を大問の代表にしているためで、原本を見ると 5 年とも同じ作りの小問集合です。
- 大問 6 は 5 年連続(2022〜2026)で立体または水そうです。2022〜2024 年度は立体図形の体積・表面積、2025・2026 年度は水そうと仕切り板・水位の問題。「立体の中で量を考える」という点では 5 年とも同じ場所に同じ種類が座っています。
- 大問 3〜大問 5 は毎年作り直されます。2022〜2024 年度は大問 3 が規則性で 3 年連続でしたが、2025・2026 年度の 2 年は規則性の大問がありません(原本で確認)。代わりに 2025 年度は平面図形の面積比、2026 年度は円の転がりが大問 3 に入りました。
- 速さ系(速さ・速さとグラフ・流水算)は精読した 5 年のうち 4 年(2022・2023・2025・2026)に大問 1 つぶん出ています。位置は大問 4 か大問 5 で揺れます。2024 年度だけは速さの大問がありませんでした。
- 円の転がり(図形の移動)は 2024 年度の大問 5、2026 年度の大問 3 と、2 年で場所を変えて出ています。中心が動いた線の長さと、円が通った部分の面積の 2 問セットで練習しておくと素直です。
- 場合の数と推理は 2024〜2026 年度の 3 年連続で大問 4 に近い位置に入っています。表を書いて数え上げる練習が効きます。
問い方の作り
- 精読した 5 年(2022〜2026)は全問が答えだけを書く短答です。記号選択も、式や理由を書かせる記述も、作図も一問もありません。計算過程を採点されない代わりに、途中でずれると 1 問まるごと落ちる作りになっています。
- 大問 1 の 3 問目は、2024〜2026 年度の 3 年連続で分配法則の工夫でした(1.23×5.1−1.23×4.9/(40×105−40×7)÷56/(1.8×3.14−1.2×3.14)÷0.3)。まともに掛けても解けますが、まとめて括る練習をしていれば数秒で終わります。
- 大問 4〜大問 6 は 2〜3 問の小問が階段になっていて、(1) が (2) の材料になります。2026 年度の推理(8 問クイズの正誤表)は (1)(2) の結果を使って (3) で 4 人目を足す作りでした。
- 図のある小問は全体の 44% です。図を見て自分で長さや角度を書き込む作業が、大問 5・大問 6 では必ず要ります。
- 大問 2 の 5 問目(図形)は別枠で練習する価値があります。斜線部の面積、円柱の展開図、立方体ブロックの積み上げが入ります。仕事算・平均算・つるかめ算・割合の文章題は、大問 2 の中で 1 問 2 分の速度が目安です。
8-2. 理科(30 分・4 科を選んだ場合)
資料は 2010〜2019 年度の 9 年分です(2011 年度は資料にありません)。2020 年度以降の理科の冊子は資料に無いので、以下は 2017〜2019 年度を精読した範囲の話です。2018・2019 年度の冊子は転写の確度が低めと記録されており、2019 年度は大問 1 の (1) が読み取れていません。
年度×大問の題材表(2017〜2019・原本で確認)
| 年度 | 大問1(生物) | 大問2(化学) | 大問3(地学) | 大問4(物理) | 小問数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 植物の分類(はい/いいえで枝分かれする分類図) | 熱と状態変化(氷 100g を加熱するグラフ) | 星・星座(北の空の日周運動の写真) | 音(グランドピアノとモノコード) | 19 |
| 2018 | 人体(呼吸器官の模式図・メダカとの対応) | 燃焼(わりばしの蒸し焼き) | 惑星・太陽(金星の見え方・黒点・日食) | てこ(はさみと爪切り・実験用てこ) | 19 |
| 2019 | 植物(葉の裏の気孔・ホウセンカの通水) | 気体の性質(酸素の発生と集め方) | 太陽(棒のかげと方位) | ばね(のびと重さ・ばね 2 本のつなぎ) | 17 |
同じ場所に同じ種類の問題が出る(座席の固定)
- 大問数は 9 年(2010〜2019)ずっと 4 で動いていません。小問は 17〜24 問です。
- 精読した 3 年(2017〜2019)は、大問 1 が生物・大問 2 が化学・大問 3 が地学・大問 4 が物理という並びで完全に一致しています。自動集計を見る限りこの並びは 2010 年度まで遡っても崩れていないように見えますが、原本で確かめたのは 3 年分なので、そこまでは断定しません。
- 大問 3(地学)は、月・星座・太陽・惑星・気象・地層のどれかが毎年 1 つ入ります。精読した 3 年では星の日周運動(2017)・金星と日食(2018)・かげと太陽の動き(2019)と、天体が 3 年続きました。星の日周運動の角度と時間、金星の見え方、太陽とかげの動きが練習の軸になります。
- 大問 4(物理)は力学が中心です。精読した 3 年では音(2017)・てこ(2018)・ばね(2019)。てこ・ばね・ふりこ・滑車が回っています。てこのつり合い、ばねののびの比例、ふりこの周期を、表から比例関係を読む形で練習しておきます。
問い方の作り
- 記号選択が主軸です。精読した 3 年の内訳は選択 79%(2017)・89%(2018)・82%(2019)で、残りは語句や数値を書く短答です。理由や考えを文章で書かせる設問は 3 年とも 1 問もありません。
- 問い方の文が毎年ほぼ同じです。どの大問も「下の (1)〜(N) の各問いに答えなさい。」で始まり(3 年とも 4 大問すべて)、選択肢の設問は「次の (ア)〜(エ) の中から正しいものを 1 つ選び、その記号で答えなさい。」で終わります(2017 年度 15 回・2018 年度 16 回・2019 年度 14 回)。文言そのものが固定されているので、設問文を読む速度は練習で確実に上がります。
- 「1 つずつ選び」の複数解答があります(2017 年度の大問 1(1)(2)、大問 3(4))。1 つの小問で 2 つ 3 つの記号を答える形なので、答案の欄の数を数えてから書きます。
- 「2 つ選び」も出ます(2019 年度の大問 2(5))。「1 つ」と「2 つ」を読み違えると確実に落ちます。
- 図のある小問が 69% です。装置図・模式図・写真・グラフを見て答える作りで、図を読まずに知識だけで解ける問題は少なめです。装置図(気体の発生装置・モノコード・実験用てこ)は、図中の記号と本文の対応を追う練習をしておきます。
- 計算は大問 4 に集まります(2019 年度のばねののび、2017 年度の日周運動 20 度=何分間)。比例で押せる程度の量です。
8-3. 社会(30 分・4 科を選んだ場合)
資料は 2010〜2019 年度の 8 年分です(2011・2012 年度は資料にありません)。2020 年度以降の社会の冊子は資料に無いので、以下は 2017〜2019 年度を精読した範囲の話です。2018・2019 年度の冊子は転写の確度が低めと記録されており、2018 年度は大問 2 の問 9、2019 年度は大問 3 の問 2 が読み取れていません。
年度×大問の題材表(2017〜2019・原本で確認)
| 年度 | 大問1(地理・10 問) | 大問2(歴史・10 問) | 大問3(公民と時事・5 問) | 小問数 |
|---|---|---|---|---|
| 2017 | 伊勢志摩サミット(三重県・人口密度・沖縄の住居・貿易相手国・TPP・世界遺産) | 平城京から昭和まで(奈良・平安・鎌倉・江戸・大正・戦後) | リオ五輪(国際協力・情報通信・東京五輪と復興・高度経済成長) | 25 |
| 2018 | 世界遺産と沖ノ島(再生可能エネルギー・鉄道輸送・静岡の生産量・やませ・工業別生産割合) | 4 つの文 A〜D(最澄と空海・貴族文化・南蛮人・遣隋使と正倉院・十七条の憲法・並べ替え) | 平均寿命の発表(少子高齢化・出生率・歳出の内訳・人口ピラミッド) | 25 |
| 2019 | 都道府県の表(東北の数・内陸県の数・伝統工芸品・工業地帯・農産物 1 位・第 3 次産業) | 和食の無形文化遺産(縄文土器・登呂遺跡・高床倉庫・石包丁・遣隋使・中尊寺金色堂) | 新聞記事 A〜D(日米安全保障条約・電力構成・平成の出来事・憲法と天皇・パリ協定) | 25 |
同じ場所に同じ種類の問題が出る(座席の固定)
- 大問 3・小問 25 が 7 年(2013〜2019)動いていません。精読した 3 年はいずれも 25 問で、内訳も大問 1 が 10 問・大問 2 が 10 問・大問 3 が 5 問とぴったり同じです。ここまで問題数が動かない学校は多くありません。
- 大問 1 が地理、大問 2 が歴史、大問 3 が公民と時事です。精読した 3 年で完全に一致しています。自動集計では 2013 年度まで同じ並びに見えます。
- 大問 1 と大問 3 は、前年に起きた出来事を導入文の題材にします。2017 年度は 2016 年のサミットとリオ五輪、2018 年度は 2017 年の世界遺産登録と平均寿命の発表、2019 年度は前年の新聞記事 4 本。3 年連続でこの作りでした。
- 大問 2 の歴史は、1 本の文章や 4 つの短文に下線を引き、そこから時代順に問う形です。精読した 3 年では古代(飛鳥・奈良・平安)の比重が大きく、2018 年度は 10 問中 6 問、2019 年度は 10 問中 7 問が原始・古代〜平安に集まっていました。土器・遺跡・高床倉庫・十七条の憲法・遣隋使・正倉院・平城京・中尊寺のあたりを厚めにしておくと素直です。
問い方の作り
- 記号選択が主軸です。精読した 3 年は 25 問中 24〜25 問が 4 択の記号選択で、記述はゼロ。短答は 2019 年度に 1 問(遣隋使の人物名)あっただけです。
- 問い方の文が 1 字も変わりません。「〜としてふさわしいものを、下の(ア)〜(エ)の中から一つ選び記号で答えなさい。」が 2017 年度に 25 回・2018 年度に 25 回・2019 年度に 24 回、つまり全設問の末尾に置かれています。導入も「次の文を読んで、下記の各問いに答えなさい。」で 3 年とも 3 大問すべて同じです。
- 「ふさわしくないもの」を選ばせる設問が毎年あります(2017 年度 8 問・2018 年度 3 問・2019 年度 4 問)。同じ文末で「ふさわしい」と「ふさわしくない」が入れ替わるだけなので、慣れるほど読み飛ばしやすくなります。ここが最大の失点源です。
- 図表を使う設問は全体の 21% です。グラフ(工業別生産割合・電力構成・人口ピラミッド・産業別労働人口)と表(都道府県の一覧)が中心で、地形図の読図は精読した 3 年にはありません。グラフの形から国や年代を当てる練習をしておきます。
- 2019 年度の大問 1 のように、表を渡して「表 1 の中で東北地方にあてはまる都道府県の数はいくつか」と数えさせる出し方があります。知識より作業の速さが問われます。
8-4. 国語(50 分・2 科でも 4 科でも共通)
国語は 2019 年度以降の問題文が資料にありません(著作権処理の関係で掲載されない年が多いためです)。問題冊子が揃っているのは 2010・2015・2016・2017・2018 年度の 5 年で、ここに書いたのは 2016〜2018 年度に限った話です。直近の形式は市販の過去問集で確認してください。
年度×大問の題材表(2016〜2018・原本で確認)
| 年度 | 大問1(説明文・論説文) | 大問2(物語文・随筆) | 小問数 |
|---|---|---|---|
| 2016 | ねこの性格と、ねこのように生きるということ(9 問) | 映画館の映写技師とルカ・恵介(7 問) | 16 |
| 2017 | 農薬の使用と農家への誤解(9 問) | 落語家・立川談志と弟子入りした「僕」(10 問) | 19 |
| 2018 | 魚の漁獲・養殖・輸入と食卓(9 問) | 小学生の麻利と美保子が提案する「願いとばし」(10 問) | 19 |
出典が冊子に印字されていて確認できたのは次の 4 つです。2016 年度=山根明弘『ねこの秘密』(大問 1・冊子の表記は「ねここの秘密」と 1 字重なっています)と関口尚『シグナル』(大問 2)、2018 年度=勝川俊雄『魚が食べられなくなる日』(大問 1)と朝井リョウ『世界地図の下書き』(大問 2)。2017 年度は冊子に出典の表記がありませんでした。
同じ場所に同じ種類の問題が出る(座席の固定)
- 大問は 2 つで、精読した 3 年とも「大問 1 が説明文・論説文、大問 2 が物語文または随筆」です。
- 大問 1 は 3 年とも 9 問(2016・2017・2018)。大問 2 は 7〜10 問で揺れます。
- どちらの大問も問一が漢字 5 題です。読みがなを答える年と、カタカナを漢字に直す年が入れ替わりますが、位置(両大問の冒頭)と題数(各 5 題)は 3 年とも同じで、1 回の試験で漢字は合わせて 10 題になります。
- 問二は語句の意味です。2017・2018 年度は両方の大問で「二重傍線部Ⅰ・Ⅱの言葉の意味として適切なものを選び、記号で答えなさい。」という同じ一文が使われています(2 年で 4 か所)。2016 年度はこの位置に接続語や空欄補充が入っていました。慣用句・熟語の言い換えを問題集で 1 日 5 語ずつ進めておくと、この定位置がそのまま得点になります。
- 大問 1 の最後(問九)が本文全体の正誤判定です。2017 年度は「本文の内容に合っていれば〇、そうでなければ×と答えなさい」、2018 年度は「〜として適切であれば○、そうでなければ×と答えなさい」で、位置も形も 2 年連続で同じでした。読み終わったら「筆者の主張は何か」を 1 文でまとめる癖を付けておきます。
問い方の作り
- 選択・抜き出し・字数指定つきの短い記述の 3 つが混ざります。精読した 3 年の内訳は、記号選択が 44〜58%、抜き出しや漢字などの短答が 19〜42%、まとまった記述が 0〜38% です。
- 字数指定が非常に多くあります。2016 年度は「二十五字以内」「十字以内」「三十五字以内」「四十五字以内」、2017 年度は「二十五字以上三十字以内」「二十五字程度」「十五字」、2018 年度は「二十字以内」「二十五字以内」「六字」「十字」「十二字」。冊子の冒頭に「カギ括弧・句読点などの記号も一字と数えます」と明記されます(2016 年度で確認)。字数を数える作業そのものが得点に直結します。
- 書き出しの指定があります(2016 年度の大問 1 問六「『ねこが』という書き出しに続けて十字以内で」、2017 年度の大問 1 問八「『一時代』に続く文を〜はじめと終わりを」)。抜き出しは「はじめと終わりの◯字」「◯字で抜き出しなさい」の形で来るので、本文に線を引きながら探す手順を固定しておきます。
- 説明文の空欄に言葉を入れる形の記述が多くあります(2017 年度の大問 1 問三・問四、2016 年度の大問 2 問五)。ゼロから書くのではなく、与えられた文の枠に本文の言葉を当てはめる作業が中心です。
- 「不適切なもの」を選ばせる設問が入ります(2018 年度の大問 1 問四、大問 2 問六)。二つ選ぶ設問もあります(2017 年度の大問 1 問七、大問 2 問十)。
- 文法・表現の知識が 1〜2 問混ざります(2017 年度の敬語、2018 年度の表現技法、2017 年度の主語を答える問い)。
- 図・グラフを使う設問は精読した 3 年で 1 問もありません。文章を読んで答えるだけの作りです。
9. しばらく出ていない単元(復活の警戒)
| 科目 | 単元 | 最終確認年度 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 算数 | 規則性 | 2024 年度 | 2022〜2024 年度は大問 3 の定位置でしたが、2025・2026 年度の 2 年は規則性の大問がありません(原本で確認)。落とした単元ではなく休んでいるだけと見るのが自然で、いつ大問 3 に戻ってきてもおかしくありません。数の並び・図形の並び・周の長さの規則は落とさないこと |
| 算数 | 角度 | 2023 年度 | 2022 年度の大問 5、2023 年度の大問 5 の (2) にはありますが、2024〜2026 年度の 3 年は独立した角度の大問がありません |
| 算数 | 売買損益 | 2023 年度 | 2022・2023 年度の大問 2 に連続で入っていましたが、2024〜2026 年度は入っていません。大問 2 の小問集合は毎年 5 問しか席が無いので、こうした単元が 2〜3 年の周期で回っています |
| 理科 | 地層・岩石・化石 | 2014 年度 | 大問 3 の地学枠は天体・気象・地層が回っており、精読した 3 年(2017〜2019)は天体が続きました。2014・2012 年度に地層が入っているので、次に地層が戻る可能性は高いと見ています |
| 理科 | 水溶液・溶解度 | 2016 年度 | 大問 2 の化学枠で 2016 年度以前によく出ていましたが、精読した 3 年(熱・燃焼・気体)にはありません |
| 理科 | ふりこ・滑車 | 資料からは特定できません | 大問 4 の物理枠で、精読した 3 年(音・てこ・ばね)にはありません |
| 社会 | 憲法・三権分立 | 2019 年度 | 大問 3 の公民枠に 2014・2016 年度は日本国憲法が正面から入っていましたが、精読した 3 年では 2019 年度に 1 問あるだけです |
| 社会 | 近代の戦争 | 2015 年度 | 2015 年度の大問 2 は近代の戦争が主題でしたが、精読した 3 年は古代の比重が大きくなっています。日清・日露・第一次世界大戦は毎年 1〜2 問の形で顔を出します |
| 社会 | 地形図の読図 | 資料からは特定できません | 精読した 3 年にはありません。地理は都道府県の同定と統計に寄っています |
| 国語 | 接続語の空欄補充 | 2018 年度 | 2016 年度・2018 年度の大問 1 問三に入っています。2017 年度は大問 2 に回っていました。位置が動くだけで毎年出ています |
| 国語 | 詩・短歌・俳句 | 資料からは特定できません | 精読した 3 年では独立した大問として出ていません |
| 国語 | まとまった記述(35〜45 字) | 2016 年度 | 2016 年度には 3 問ありましたが、2017・2018 年度は 20〜25 字の短いものが中心になっています。長めの記述が戻る可能性は残ります |
10. 形式面の注意
- 算数: 精読した 5 年(2022〜2026)は全問が答えだけを書く短答で、記号選択も記述も作図もゼロです。円周率は「円周率は 3.14 とします」と冊子の冒頭に明記される年が多くあります(2024・2026 年度で確認。円が出ない 2025 年度は記載もありません)。2019 年度には円すいの体積の公式が冊子に書かれていました。比は「最も簡単な整数の比で」と毎回指定されます(2022・2023・2025 年度で確認)。単位は問題文の中に印字され、答案には数値だけを書く形で、「何 cm ですか」「何 cm² ですか」と単位を指定して問われます。1 つの小問で 2 つの数値を答えさせることがあります(2026 年度の大問 5 の「静水時の速さと川の流れの速さ」)。答案の欄が 2 つある小問を落とさないこと。答えだけを書く形式なので検算の癖を付けます。とくに単位換算(2025 年度の kg と g、2026 年度の kg)で落とすともったいないところです。配点は資料からは分かりません。
- 理科: 精読した 3 年(2017〜2019)は記述ゼロ・作図ゼロです。選択が 79〜89%、残りは語句と数値の短答で、短答は 2〜4 問ですが確実に取りたいところなので、語句は漢字・ひらがなの指定つきで書けるようにしておきます。「1 つ選び」「1 つずつ選び」「2 つ選び」が混在します。答え方の指定が入ることがあります(2018 年度の大問 1(3)「ひらがな 2 文字で答えなさい」)。指定を読み飛ばすと正答でも点になりません。作図は精読した 3 年で 1 問もありませんが、2019 年度の大問 1(4) のように「正しく塗りつぶしたスケッチはどれか」を選ばせる形で、作図に近い理解を記号で問うことはあります。図のある小問が 69% で、装置図・グラフ・写真の読み取りが中心です。30 分で 17〜19 問なので 1 問あたり 1 分半。図の読み取りに時間を取られやすいので、選択肢を先に見て図に戻る順序が有効です。
- 社会: 精読した 3 年(2017〜2019)は 25 問中 24〜25 問が 4 択(ア〜エ)の記号選択で、記述はゼロです。選択肢は原則 4 つ(ア〜エ)で 3 年とも統一されています。「二つ選べ」「組み合わせを選べ」は組み合わせ選択の形で出ます(2017 年度の大問 1 問 5、2018 年度の大問 2 問 1 など)。短答は 2019 年度に 1 問だけ。答案に書くのは記号だけで、字数指定も漢字指定も精読した 3 年にはありません。「ふさわしくないもの」を選ぶ設問が毎年 3〜8 問あります。導入文が 3 大問合わせて 1000 字弱あるので、設問を先に見てから導入文の下線部に戻る読み方が要ります。30 分で 25 問なので 1 問 70 秒。導入文の読みすぎで最後の 5 問を落とさないよう、時間内に 25 問すべてに手を付けきることを最優先にします。
- 国語: 字数指定が非常に多く、「カギ括弧・句読点などの記号も一字と数えます」が冊子の冒頭に明記されます(2016 年度で確認)。字数の数え方(記号も 1 字)を答案用紙のマス目で必ず守ります。書き出しを指定して続きを書かせる形、説明文の空欄に本文の言葉を入れる形が多くあります。「不適切なもの」「二つ選び」も出ます。漢字は読み・書きのどちらで来るか年によって変わるので、両方を同じ量やります。古文・漢文は精読した 3 年にありません。図やグラフを使う設問もありません。50 分で本文 2 本・16〜19 問(資料によっては 17〜19 問)なので、1 本 20 分+見直し 10 分の配分が目安になります。
11. 学年別ロードマップ(小 4 から始めるなら)
小 4(土台)
計算の正確さ・平面図形の基礎・音読と読解・漢字語彙の 4 本です。この学校で最後まで効くのは「答えだけを速く正確に出す力」なので、途中式を丁寧に書く習慣と、答えを検算する習慣を同時に付けておくとよいでしょう。図形は面積と角度の基礎、立体は体積の意味まで。時間を計るのはまだ先で構いません。理科・社会は都道府県の位置と、身の回りの生き物・天体への興味を育てる時期です。
小 5(幅)
単元を一巡させる年です。週の器は「平日 15 分×5 + 週末 60 分」を基本形にして、次のように割り付けます。
- 平日 15 分×5: 算数の単元を、数の性質 → 割合と比 → 仕事算 → 平均算 → つるかめ算 → 売買損益 → 単位換算 の順に通します(大問 2 に入りうる単元です。仕事算・平均算・つるかめ算は受験用教材の単元で、教科書には出てきません)。あわせて国語の、字数を指定された短い記述(20〜25 字)を書き慣れる練習を少しずつ。ただし国語は 2019 年度以降の資料がありません(→ 13 節)。
- 週末 60 分: 社会は地理を都道府県単位で一巡し、歴史は古代(縄文〜平安)を厚めに——精読した 3 年の大問 2 は 10 問中 6〜7 問が原始・古代〜平安に集まっていました。理科は生物・化学・地学・物理の 4 分野を均等に。ただし理科・社会は 2020 年度以降の資料がありません(→ 13 節)。
この学校は「同じ問題」ではなく「同じ場所に同じ種類」が来るので、小 5 での全分野をひととおり学び終えることが、そのまま得点力になります。
小 6(仕上げ)
7 節の 8 項目に集中する時期です。夏以降は、年度を通しで解いて時間を計る回と、同じ大問だけを縦に 5 年分解く回を交互に置きます。算数なら大問 2 だけ・大問 6 だけ、社会なら大問 1 だけ、国語なら漢字と問二(語句の意味)だけ、という縦の解き方がこの学校では特に効きます。答えだけを書く形式なので、11 月以降は「見直しの手順」を固定します(単位・比の形・記号の個数)。
この学校は小 4 から始めるとどこで差がつくか
差がつくのは小 5 での全分野の一巡と、小 6 の「読み落とさない練習」です。出題形式が何年も動かない学校なので、形式に慣れること自体は誰でも短期間でできます。差が出るのは、社会の「ふさわしくない」・理科の「2 つ選び」・国語の字数指定・算数の単位といった条件を、疲れた状態でも読み落とさない精度のほうで、これは小 4 からの「答えを出したら条件に戻って確かめる」習慣の積み重ねで作られます。逆に、長い記述の訓練にかける時間は、この学校の対策としては優先度が低くなります。
12. この学校と併願するなら
観点は勉強が転用できるかだけです(同じ形式・同じ頻出単元・同じ問い方なら、過去問演習が二重に効きます)。難易度・偏差値帯・通学圏・お子さんとの相性は扱いません。男女と日程の注記は自動集計が付けたものをそのまま載せています。
- 穎明館中学校(東京都・共学)— 4 科目ともそろって近く、1 校で 4 科目まとめて転用したいときの筆頭です。2027 年度は 2 月 1 日・2 月 2 日・2 月 4 日の同じ時間帯に入試が重なる回があります。
- 横浜女学院中学校(神奈川県・女子校)— 国語が近く、国語の演習を二重に効かせたいときに向きます。ただし郁文館の国語は資料が 2018 年度までなので、この比較も 2018 年度以前の形に基づきます。2027 年度は 2 月 1 日・2 月 2 日・2 月 3 日の同じ時間帯に入試が重なる回があります。
- 東京純心女子中学校(東京都・女子校)— 算数が最も近い一方、社会は離れています。算数の演習の転用先として見る学校です。2027 年度は 2 月 1 日・2 月 2 日・2 月 3 日の同じ時間帯に入試が重なる回があります。
8 校の一覧・記述量・注意は 併願候補ページ へ。
- この学校は回によって受ける科目が変わります(2 科・4 科の選択の回、英語 1 科+面接の回)。受ける回によって必要な科目が変わるため、併願先の科目構成と見比べて準備を立てる必要があります。とくに 2 科や英語の回で受けるつもりでも、併願先が 4 科目校の場合、理社は本校の準備とは別に立てる必要があります。
- 近さの数字は、科目ごとの「大問数・小問数・記述と記号選択の比率・図表の比率・同じ位置に来る単元の一致・設問文の言い回しの重なり」の距離と、単元分布の似かたを半分ずつ合成した自動集計です(100 に近いほど出題の作りが近い)。同じ問題が出るという意味ではありません。郁文館の社会は全問記号選択・3 大問 25 問という珍しい作りなので、社会の演習を転用したいときは社会の数字が高い学校を選ぶほうがよいでしょう。
13. 資料の限界
このレポートは過去問の転写データだけを根拠にしています。次の点は読むときに差し引いてください。
- 入試回が特定できません。 資料は校×年×科目で 1 冊ずつしか無く、冊子から回を確定できません。転写の注記に「第 1 回一般入試」(2015 年度)「第 1 回総合入試」(2023 年度)とあることから第 1 回相当として扱いましたが、回の呼び名は年によって変わっています。2027 年度の募集では 2 科・4 科の回だけで 4 回あり、ほかに英語の回、2 科のみの回、適性検査の回があります。別の回では出題の作りが違う可能性があります。
- 理科・社会は 2020 年度以降の冊子が資料にありません。 理科は 2019 年度まで 9 年分、社会は 2019 年度まで 8 年分しかありません。ここに書いた理科・社会の話は、いずれも 6 年以上前の形です。直近の形は市販の過去問集で確認してください。
- 国語は 2019 年度以降の問題文が資料にありません(著作権処理の関係で掲載されない年が多いためです)。資料があるのは 2010・2015〜2018 年度の 5 年で、本文まで精読できたのは 2016〜2018 年度の 3 年です。
- 2021 年度は 4 科目とも資料にありません。 2013 年度の算数、2011 年度の理科、2011・2012 年度の社会、2011〜2014 年度の国語も同様です。
- 転写の確度が低いと記録されている冊子があります。 理科は 2018・2019 年度、社会は 2018・2019 年度です。実際に、2019 年度の理科は大問 1 の (1)、2018 年度の社会は大問 2 の問 9、2019 年度の社会は大問 3 の問 2 が読み取れていません。これらの小問は数に入れていません。
- 図そのものは資料に写りません。 図形問題・装置図・グラフの細部は、設問文と図の説明文からの推定を含みます。算数の大問 5・大問 6、理科の全大問はとくにこの影響を受けます。
- 自動集計には次の誤りがあり、原本で読み直して直しました。
- 算数の大問 2 は「割合」「数の性質」「逆算」と年ごとに違う単元名で集計されていますが、原本を見ると 5 年(2022〜2026)とも「次の □ にあてはまる数を答えなさい」の小問集合 5 問です。先頭の小問の単元が大問全体の名前になっていたための見かけ上の変化で、実際には大問 2 の作りは動いていません。
- 国語は「字数指定のある冊 0%」と集計されていますが、原本には「二十五字以内」「三十五字以内」「六字」「十二字」など字数指定が多数あります。実態と逆です。
- 理科・社会・国語は「2020 年度以降の資料が無い」だけであって、出題が無くなったわけではありません。資料の無い年を 0 題として数えた集計は使っていません。
- 出典について。 冊子に印字されていて確認できたのは、2016 年度の 2 点(山根明弘『ねこの秘密』・関口尚『シグナル』。前者は冊子の表記が「ねここの秘密」と 1 字重なっています)と 2018 年度の 2 点(勝川俊雄『魚が食べられなくなる日』・朝井リョウ『世界地図の下書き』)だけです。2017 年度は冊子に出典の表記が無かったので書いていません。
- 同じ問題の使い回しは見つかりませんでした。 算数は 2022〜2026 年度の 5 年、理科と社会は 2017〜2019 年度の 3 年、国語は 2016〜2018 年度の 3 年を読み比べましたが、前の年とまったく同じ設問は 1 問もありませんでした。固定されているのは問題そのものではなく、置かれる場所と問い方の文です。
- 難易度・偏差値・合格可能性・学校の優劣・入試結果・教育理念については、このレポートでは一切扱っていません。
資料どうしの食い違い
- 入試回の数え方: 1 節の入試回の一覧(学校の公表資料から渡された範囲)と、4 節・この節の「2 科・4 科の回が 4 回、ほかに英語・適性検査・2 科のみの回」という記述は食い違っています。1 節には渡された範囲の回だけを載せました。実際の回の構成は募集要項で確認してください。
- 国語の小問数: 5 節の表と 8-4 の題材表は 16〜19 問、10 節のもとになった記録は 17〜19 問としており、下限が食い違っています。原本で確認できた実数は 2016 年度 16 問・2017 年度 19 問・2018 年度 19 問です。
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数字はすべて出所つきで、換算や評価語は足していません(→ 方法論)。合格可能性・お子さんとの相性は扱いません。更新 2026-08-17。
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