過去問の使い方 3 パターン
更新 2026-08-17。各校の偏差値ページ・過去問分析ページに出る「→ 過去問の使い方は「…」」の 3 つを説明します。合格可能性・お子さんとの相性・学校の優劣は扱いません。
このサイトは、学校ごと・科目ごとに過去問を数えた結果から、過去問を「何年分・どの順番で・何を計りながら」解くのがその出題の形に合っているかを 3 つのうち 1 つで示しています。3 つは優劣ではなく、出題の形の違いに対応した演習の順序の違いです。想定している時期は受験学年(小 6)の夏以降・過去問演習に入っている段階です。小 5 以前の読み方は各パターンの末尾に 1 文ずつ添えました。
早見表
| パターン | 向く学校の出題(学校ページの言い回し) | 身につけるもの | 使う年数の目安 |
|---|---|---|---|
| ① 同じ座席を縦に(同じ位置の問題を年度をまたいで解く) | 「同じ位置に同じ単元の同型問題が出る(同一問題・同型問題の反復)」「同じ問い方が毎年出る(設問文の使い回し)」「数値だけ変えた同じ問題が出る」「設問の並び(問われる順序)が毎年同じ」 | 決まった座席の問題の解き方の手順 | 座席ごとに 5〜10 年分(資料がある限り) |
| ② 年度通しで時間を計る | 「大問数・小問数がほぼ完全に固定されている(時間配分が完全に読める)」「大問数と小問数の形が年をまたいで安定している(時間配分が読める)」(中身は毎年入れ替わる) | 試験時間の中での配分と、途中で止まらない処理 | 通しで 5〜8 年分 |
| ③ 単元網羅+直近 3 年 | 「年によって形式が変わる」、または上の 2 つの手がかりが資料からは確認できていない学校 | 単元ごとの解き方と、直近の形式への慣れ | 直近 3 年を本番形式で・それ以前は単元教材として |
同じ学校でも科目ごとに違うパターンが付きます(例: 算数は ①・理科と社会は ②)。学校ページは科目ごとに表示しています。
パターン① 同じ座席を縦に(同じ位置の問題を年度をまたいで解く)
どんな学校・科目に向くか
学校ページに次のいずれかが書かれている科目です。
- 「同じ位置に同じ単元の同型問題が出る(同一問題・同型問題の反復)」— 算数で、大問の何番に何が出るかが年をまたいで動かない。理科・社会では「分野の配置と設問の文型が毎年反復する」「分野の配置が固定され設問の文型が反復する」と表示します。
- 「同じ問い方が毎年出る(設問文の使い回し)」「数値だけ変えた同じ問題が出る」— 設問の文そのものが年をまたいで再登場する。
- 「設問の並び(問われる順序)が毎年同じ」— 国語で、漢字→語句→読解 のように問われる順序が固定されている。
- 「知識問題(熟語・語句など)の問い方が毎年同じ」
「(原本で確認)」が付いていれば人手で原本を照合したもの、無印は機械集計のみです(後述「学校ページの見方」)。
具体的な手順(小 6 夏以降)
- 座席を決める。 学校の過去問分析ページの「年度×大問の題材表」(詳しいレポートがある学校)または「よく出る単元(比率)」「毎年同じ文で出ている設問の例」を見て、年をまたいで同じ位置に同じ単元が出ている大問(または小問の番号)を書き出します。算数なら「大問 5」「大問 1 の (8)〜(10)」のような単位、社会なら「大問 5(公民)」、国語なら「大問 1(漢字)」のような単位です。
- 座席ごとに、古い年から新しい年へ縦に解く。 1 年分を通しで解くのではなく、決めた座席だけを 5〜10 年分続けて解きます。同じ座席を続けて解くと、数値や図が変わっても手順が同じであることが自分で見えてきます。
- 手順を言葉にする。 座席ごとに「最初に何を求め、次に何を求めるか」を 3〜5 行で書いたカードを作ります。答えの数値ではなく手順を残すのが目的です。
- 直近 3 年で確かめる。 カードの手順で直近 3 年の同じ座席が解けるかを試します。解けなければ手順の書き方を直します。
- 最後に 2〜3 年分は通しで時間を計る。 座席の反復だけでは試験時間の中での配分が身につかないので、本番 1〜2 か月前に残しておいた年度で通し演習を数回行います。理科・社会のように 30 分で 20 問前後の科目は特に必要です。
- 他の座席は幅で備える。 同じ学校でも「毎年入れ替わる座席」(例: 算数の文章題の単元、歴史の切り口)はあります。そこはパターン③の考え方で、単元を広く準備します。
小 5 以前は、題材表を「小 5 で一巡する単元の一覧」として読み、座席ごとの反復と時間計測はまだしません。
やってはいけないこと
- 直近 3 年を最初に通しで解いて使い切る(座席の反復に回す前に、いちばん新しい形式の年を消費してしまう)。
- 答えの数値や図を覚える(毎年、数値・図・題材は変わります。覚えるのは手順です)。
- 同じ学校の別の科目に同じ方法を当てる(科目ごとに表示が違います)。
- 転写の確度が低い年や、条件が今と違う年(例: 円周率の指定が変わる前の年)を本番の想定に使う。学校ページの「資料の状況」「形式面の注意」で年の性質を確認します。
- 「同じ座席に来年も同じ単元が出る」と言い切る。過去に反復があったという事実だけが根拠で、来年の出題は誰にも分かりません。
このパターンが言わないこと
演習の順序を示すだけで、合格可能性やお子さんとの相性は述べません。同じ座席が反復している学校であっても、次の年に同じ座席に同じ単元が出るとは限りません。
パターン② 年度通しで時間を計る
どんな学校・科目に向くか
学校ページに次が書かれていて、かつ ① の手がかり(同じ位置・同じ問い方の反復)が付いていない科目です。
- 「大問数・小問数がほぼ完全に固定されている(時間配分が完全に読める)」
- 「大問数と小問数の形が年をまたいで安定している(時間配分が読める)」
つまり「形は毎年同じだが、中身(単元・題材)は毎年入れ替わる」出題です。「大問が多い(8 題以上)」「小問が多い」「問題文の量が多い」が併記されている科目では、時間配分の練習の比重がさらに上がります。
具体的な手順(小 6 夏以降)
- 試験時間・大問数・小問数を確認する。 募集要項ページで科目ごとの試験時間を、過去問分析ページで「大問 N 前後・小問 M 前後」を確認し、1 大問あたり・1 小問あたりの目安時間を割り出します(例: 50 分で大問 10 なら 1 題 5 分弱、30 分で小問 20 なら 1 問 1 分半)。
- まず 1 年分を通しで解き、現状を知る。 時間を計り、どの大問で時間を使い、どこで止まったかを記録します。ここでは点数より「時間の使い方の地図」を作ることが目的です。
- 大問ごとの目安時間と「飛ばす基準」を決める。 例えば「1 問 3 分を超えたら印を付けて次へ」のように、その学校の形に合わせた基準を紙に書きます。
- やや古い年から通し演習を重ねる。 1 回ごとに大問別の所要時間と正誤を表に記録し、時間配分表を更新します。5〜8 年分が目安です。
- 落とした問題を単元別に集めて復習する。 中身は毎年入れ替わるので、「その問題」ではなく「その単元の解き方」を教材で補います。学校ページの「よく出る単元(比率)」が復習の優先順の手がかりになります。
- 直近 2〜3 年は本番 1〜2 か月前に残す。 最終確認として本番と同じ時間帯・同じ順序(複数科目を続けて)で解きます。
小 5 以前は通し演習をせず、「この学校は何分で何問か」を知っておくにとどめ、日々の学習は基礎(計算の正確さ・図形・読解・短い記述・漢字語彙)を優先します。
やってはいけないこと
- 時間を計らずに解いて答え合わせだけする(このパターンで身につけたいのは時間の中での処理です)。
- 古い年から順に全部を通しで解き、直近の年を残さない。
- 1 回分の所要時間を記録せず、感覚だけで「速くなった」と判断する。
- 例外の年(大問数が一時的に増減した年)を「傾向が変わった」と読む。学校ページは中央値と例外を分けて書いています。
- 記述が多い科目で、時間内に書き切る練習を省く(字数指定・解答欄の大きさは「形式面の注意」で確認)。
このパターンが言わないこと
時間配分の練習が必要だと示すだけで、その学校の問題の難しさの評価も、合格可能性も述べません。
パターン③ 単元網羅+直近 3 年
どんな学校・科目に向くか
- 学校ページに「年によって形式が変わる」が書かれている科目。
- または、①・② の手がかり(同じ位置・同じ問い方の反復、大問数・小問数の安定)が資料からは確認できていない科目。資料が少ない学校、機械集計だけで人手の照合がない学校もここに入ります。
「向く」というより、上の 2 つに頼れないときの基本の進め方です。
具体的な手順(小 6 夏以降)
- 単元の範囲を把握する。 過去問分析ページの「よく出る単元(比率)」と単元別索引で、その学校・科目でどの単元がどれくらいの割合で出ているかを見ます。比率は過去の全年の小問数で数えたもので、来年の出題を約束するものではありません。
- 単元別に網羅する。 塾の教材や問題集で単元ごとに解き方を固めます。この段階は過去問そのものより単元教材が主役です。
- 直近 3 年を本番形式で解く。 時間を計り、記述の字数指定・作図・選択肢の並び・解答用紙の形など、直近の年で使われている形式を書き出します。形式が変わる学校では、新しい年ほど本番に近いと考えます。
- 直近 3 年で出た形式に合わせて練習を足す。 例えば直近で記述が増えていれば記述の練習を、資料の読み取りが増えていれば図表を読む練習を足します。
- 3 年より前の年は単元教材として使う。 形式は参考程度にとどめ、問題は単元別に切り出して解きます。
- 国語は市販の過去問で補う。 このサイトの資料は国語の非掲載が多く、直近の形式は各校の過去問集で確認してください(資料の限界)。
小 5 以前は 1〜2 だけを進め、直近 3 年の通し演習は小 6 の夏以降に回します。
やってはいけないこと
- 古い年の形式に合わせて対策を組む(形式が変わる学校では古い年の形は本番と違うことがあります)。
- 1 年分だけを見て「この学校はこういう形式」と決める。
- 「今年は変わるはず」と先読みして、出ていない形式に時間を割く。学校ページは過去に起きたことだけを書き、変化の予測はしていません。
- 「よく出る単元(比率)」の上位だけに絞る(比率は過去の割合で、下位の単元が出ないという意味ではありません)。
このパターンが言わないこと
単元を広く準備するという進め方を示すだけで、どの単元が来年出るか、合格可能性、お子さんとの相性は述べません。
3 つのどれにも当てはまらないように見えるとき
- 科目ごとに違うのが普通です。算数は ①、理科・社会は ②、国語は資料不足で表示なし、のような組み合わせが多く見られます。科目ごとに別のパターンで進めてください。
- 資料が 5 年分未満の科目は「傾向は述べない」と表示し、パターンも付けません。市販の過去問で直近の形式を確認してください。
- 複数回入試のある学校では、このサイトの資料は第 1 回相当の 1 冊のみです。第 2 回以降の形式は各校の過去問集で確認してください(資料の限界)。
- 併願校のページで同じパターン・近い単元分布が示されていれば、演習を共有できます(併願候補ページの「近さ」は出題構造の近さであって、同じ問題が出るという意味ではありません)。
学校ページの見方(「→ 過去問の使い方は…」の読み方)
どこに出るか
- 偏差値ページ「2. 偏差値では分からないこと」の科目ごとの行末: 「→ 過去問の使い方は「同じ座席を縦に(同じ位置の問題を年度をまたいで解く)」」など。
- 過去問分析ページの科目ごとの行末と、「## 過去問の使い方」の科目別の箇条書き。
- 学校トップページの「よくある質問」(科目の中で多いパターンを 1 つ)。
どう決めているか
科目ごとに、5 年分以上の資料がある場合だけ次の順で 1 つを付けます。
- 同じ位置・同じ問い方の反復の手がかり(「同じ位置に同じ単元の同型問題が出る」「同じ問い方が毎年出る」「数値だけ変えた同じ問題が出る」「設問の並びが毎年同じ」「知識問題の問い方が毎年同じ」)があれば ①。
- それがなく、大問数・小問数の安定(「ほぼ完全に固定」「形が年をまたいで安定」)があれば ②。
- どちらも確認できなければ ③。「年によって形式が変わる」と分かった科目も、手がかりが資料からは確認できていない科目も、ここに入ります。
したがって ③ は「形式が変わる」という断定ではなく、「①・② の根拠が資料に無い」という意味を含みます。
添えられている語の意味
- 「(原本で確認)」: 人手が原本を 3 年分以上読んで、機械集計の結果と照合したものです。無印は機械集計のみで、転写の読み落としの影響を受け得ます。無印の科目は、過去問を 2〜3 年分ご自身で見て確かめてから進めてください。
- 「傾向は述べない」: その科目の資料が 5 年分未満です。
- 「転写の確度が低い年 N」: 資料のうち転写(PDF からテキストへの読み取り)の確度が低い年の数です。数字は参考としてお読みください。
- 「〜前後」: 過去の全年の中央値です。年による増減があります。
詳しいレポートがある学校では
「一番大きな結論」の節で、この学校の出題が「出る問題を覚える」(≒ ①)、「時間の使い方を身につける」(≒ ②)、「単元ごとの解き方を習得する」(≒ ③)のどれに近いかを言葉で述べ、科目別の詳細で座席・周期・形式面の注意を書いています。機械集計の一言と、原本を読んだレポートの記述の粒度が違う場合(例: 機械は「時間配分が読める」、レポートは「大問 5 だけは同じ座席」)は、レポートの科目別詳細のほうが細かい根拠を持っています。
過去問はどこで手に入れるか(2026-08-20 追記)
(このサイトでは問題そのものの掲載・配布は行いません。以下は入手先の案内です。)
学校によって入手のしやすさがまったく違います。順に確かめてください。
- 市販の学校別過去問集。書店・通販サイトで「学校名+過去問」で検索します。学校別のシリーズを出している出版社は複数あり、収録年数(3〜10 年)と発売時期(例年夏〜秋)が学校ごとに違うので、買う前に収録年数を確かめてください。受験する回が収録されているかも要確認です(第 1 回だけの収録が多い)。
- 市販の過去問集が無い学校もあります(小規模校・地方校・国立附属の一部)。その場合は、(a) 学校の窓口・説明会での頒布、(b) 学校サイトのサンプル問題、(c) 塾の学校別教材、の順で確かめてください。
- 何年分そろえるかの目安: このサイトの各校ページが「同じ座席」と書いている学校は 3 年、そうでない学校も 3 年から始めて、手応えで追加するのが無駄がありません。
記述問題の家庭での丸つけ(2026-08-20 追記)
正解が 1 つに決まらない記述は、次の 5 点だけ確かめれば家庭でも見られます。子ども自身の見直しにも使えます。
- 聞かれたことに、最初の一文で答えているか(「なぜ」→「〜から。」で終わっているか)
- 本文・資料の言葉を使っているか(自分の思いつきだけで書いていないか)
- 指定(字数・指定語句)を全部守っているか(句読点も 1 字に数えるのが普通です)
- 文が最後まで閉じているか(主語と述語がねじれていないか)
- 設問の条件を 2 つとも使ったか(「資料 1 と資料 2 をふまえて」型で片方しか使わないのが最多の失点です)
例(「あなたがこの町の市長なら、ごみを減らすために何をしますか。理由とともに 60 字以内で」): - 良い例: 「ごみ袋を有料にする。資料 1 で有料化した市のごみが減っており、お金がかかると分別する人が増えると考えたからだ。」(59 字) - 惜しい例: 「ごみを減らすのはとても大事なことなので、みんなで協力してごみを減らしたいと思う。」— 聞かれた「何をするか」に答えておらず、資料も使っていません。